2025.05.07
クライアントから信頼されるSES営業のヒアリング術

SES営業において、クライアントとの信頼関係を築くためには、的確なヒアリングが欠かせません。営業経験が浅くても、ポイントを押さえた会話術を身につけることで、人と企業をつなぐ“架け橋”としての役割をより深く、信頼されるパートナーとして活躍できます。
本記事では、要件の引き出し方や案件の裏事情を探る質問例、技術がわからなくても通用する会話術など、実務で即使えるノウハウを解説します。
目次
ヒアリングの基本姿勢
クライアントとの信頼関係を築くためには、まず相手の話をしっかりと聞く姿勢が重要です。以下のポイントを意識しましょう。
- 傾聴力:相手の話に耳を傾け、理解しようとする姿勢を持つ。
- 共感力:相手の立場や感情に寄り添い、共感を示す。
- 質問力:相手のニーズや課題を引き出すための適切な質問をする。
要件の引き出し方

クライアントの要望や課題を明確にするためには、具体的な質問を投げかけることが効果的です。以下のような質問を活用しましょう。
質問例 | 目的 |
---|---|
現在のプロジェクトの目的は何ですか? | プロジェクトの背景や目的を把握する |
求めるエンジニアのスキルセットは? | 必要な技術や経験を明確にする |
プロジェクトの期間や開始時期は? | スケジュールを確認する |
担当工程はどのフェーズになりますか? | 求められる業務内容を明確にする |
現在のチーム体制と課題は何ですか? | チームバランスや補強ポイントを理解する |
求める人物像に技術以外で重視する点はありますか? | コミュニケーション力やリーダーシップの重要度を把握する |
今回の採用において最も重視する条件は何ですか? | 優先順位を明確にし、提案に活かす |
これまでの採用でうまくいかなかった理由はありますか? | 過去の失敗から改善ポイントを探る |
案件の裏事情を探る質問例
クライアントから本音や背景事情を引き出すには、慎重かつ踏み込んだ質問がカギとなります。
- このプロジェクトで一番懸念しているリスクは何ですか?
- 過去のプロジェクトで成功した要因は何でしたか?
- 今回はどうして外部リソースを活用しようと考えたのですか?
- 今後のチーム拡大や技術方針に影響するポイントはありますか?
技術がわからなくても通用する会話術
営業がすべての技術に精通している必要はありません。理解を深め、信頼を築くコツは以下です。
- 正直な姿勢:わからない単語や技術については「教えてください」と素直に聞く。
- たとえ話を活用:システム構成を「工場ライン」に例えるなど、日常感覚で置き換えて確認する。
- 理解確認:「つまり〇〇という認識で合っていますか?」と要所で確認する。
- ポイントメモ:ヒアリング中に出た技術ワードは必ずメモし、後から自習する。
失敗するヒアリング例と改善例

失敗例 | 改善例 |
---|---|
「とりあえず何かあれば対応します」 | 「どの領域に最も人手が足りないか優先順位を教えていただけますか?」 |
「必要ならエンジニアを入れ替えます」 | 「適応力の高いエンジニアを提案し、長期的な活躍を目指します」 |
「情報は後でまとめて送ってください」 | 「その場で具体的に聞き取り、情報の齟齬を防ぐ」 |
「エンジニアの希望単価に合わせます」 | 「案件内容とスキルを基準に適正単価でご提案します」 |
「とにかくスピード重視で送ります」 | 「クライアントのニーズに合致する人材を厳選してご紹介します」 |
よくあるNG質問と改善ポイント
- NG:「未経験者でも大丈夫ですか?」 → 改善:「どの程度の実務経験を求められていますか?」
- NG:「いつまでに決めてもらえますか?」 → 改善:「採用決定までの想定スケジュールを教えていただけますか?」
- NG:「複数案件にまとめてエンジニアを出してもいいですか?」 → 改善:「今回の案件に最も適した人材をご提案させていただきます」
ヒアリング後のフォローアップ方法
ヒアリングで得た情報を放置せず、迅速にフォローアップすることで信頼感が高まります。
- 24時間以内にヒアリング内容の要約メールを送付
- 追加で出た課題や確認事項をリストアップして提示
- 次回打ち合わせ日程の打診
- 参考になる事例や資料があれば積極的に共有
ヒアリング内容を活かした提案づくり
クライアントが本当に求めているのは「話を聞くだけの営業」ではなく、「課題を解決してくれる営業」です。ヒアリング結果を基に以下のような提案を心がけましょう。
- 単なるスペックマッチではなく、プロジェクトの成功を意識した人材提案
- リスク予防や課題解決に役立つ追加提案
- フェーズ別に最適な人員構成をアドバイス
営業として日常的に意識したいこと
日々のちょっとした心がけが、ヒアリング力を底上げしていきます。
- クライアント視点で常に考える習慣を持つ
- ヒアリング時のメモを必ず振り返り、次回アクションに反映する
- 業界の最新トレンドにアンテナを張り、知識のアップデートを続ける
- 小さな約束ほど迅速・確実に果たす
まとめ

SES営業のヒアリングは、単なる質問作業ではありません。相手の課題を深く理解し、解決へ導くプロセスそのものです。事前準備・場面ごとの質問設計・ヒアリング後のフォロー、この3つを丁寧に積み重ねることで、「この人なら任せたい」と思ってもらえる営業へと成長していきましょう。